杉本君1 【自然・動物観察のきっかけ】
私は、東京都武蔵野市にあります、第三中学校に通っていました。
夏の或る日、下校時に歩いて帰りましたけれども、今の住宅が密集している武蔵野市と違って、その頃は関東ローム層の畑がずーっと広がっていました。サツマイモ、ジャガイモ、キュウリ、トマト等が地面を覆い、トウモロコシや麦までが作付されていました。
その畑の中を、未舗装の道が走っているんですが、中学校から300~400mの距離で自宅が有りました。その道すがら、同級生の杉本君が道端にしゃがんで、必死に何かを見ています。私は、「杉本君何してるの?」と近寄って、彼に問うてみたところ、「アリンコをみているんだよ。」と言いました。確かに、杉本君の足元にはアリンコが列をなして歩いていました。それを杉本君が、「とっても楽しい。」と 言って見ていたので、私も一緒にアリンコ観察を始めました。様々な動きをする蟻がいるんだなあ・・・ということと、 杉本君はなんでこんなことに興味を持つんだろう・・・と思いました。
そのことはそれで済んでいったのですが、後からしてみると、自然観察をすることが楽しいということ、動物をどういう風に見たらもっと楽しみが増すのかという事。それを杉本君から教わったように思います。
昔はよく寄り道をしたものです。その寄り道をするすがらに、自分の人生の物の考え方を変えてしまう出来事に出会うことが有ります。その考え方の一つを、私は同級生の杉本君から教わったのではないかと思います。
いま、杉本君はどうしているのでしょうか・・・?
そのこともあり、私はいま、この動物の生業をしております。